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体も頭も疲れているのに、全然眠れなかった。
どんなに目を閉じても、浮かんでくる。
その感触も、温度も、匂いも。
まとわりついて離れない。
ベッドの端に座ってぼんやり窓の外を見る。
煌々と夜を照らす月。
ヘッドフォンから聴こえてくるのは優しい歌声。
花が好きな矢野顕子。
彼女の歌はまるで絵本のようだと花は言った。
『ひとつだけ』
それはあの人が一番好きだった歌。
午前2時。
たったひとつの点になる瞬間。
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