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「朔ー、先行くぞー」
授業が終わると、峯田は我先にと教室を出て行った。
峯田は学校には勉強ではなく、バスケをしに来るものだと思っている節がある。
もうすぐ試合ということもあって、最近やけに張り切っている。
あの調子じゃこの前の期末テストで赤点を取ったことも気にしてないのだろう。
教室を出ると、ちょうど隣のクラスから出てきた涼子に出くわした。
「あれ? 峯田は?」
「一番に教室出てった」
「あいつ、毎日バカみたいに張り切ってるわねぇ」
「もうすぐ試合だし」
「峯田がキャプテンになってから初めての試合だもんね」
峯田の場合、バスケに関してはいつだって張り切っているけど。
「それにしてもまさか峯田がキャプテンになるとはね。未だに信じられないんだけど」
涼子は本当に信じられないと言わんばかりに肩をすくめる。
「だいたい、あいつ、キャプテンの器じゃないでしょ? あれはただのバスケバカなだけでしょ?」
「でも峯田がやりたいって言うんだからいいんじゃねーの?」
「そういう問題じゃないでしょ?」
「そうかな? 俺はやりたい奴がやればいいと思うけど」
「でも、あのバカにチームをまとめられると思う? バスケが好きなだけじゃどうにもならないことだってあるでしょ?」
「そんなのやってみなきゃわかんないじゃん。嫌々やらされる奴よりよっぽどマシだよ。それに、あいつはバカだけど憎めないところがあるから。あいつが何とかならなくても、周りが何とかなるようにしてくれるよ」
「確かに。あいつ、仲間にだけは恵まれてるよね」
「だろ?」
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