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「でも、あたしは朔がキャプテンになると思ってた」
「なんで俺が?」
「女子の中じゃ、朔が最有力候補だったのよ」
「俺も涼子がキャプテンになると思ってた。リーダーシップあるし、女子の中では一番うまいし。まさか副キャプテンにおさまるとはなぁ。でも、あれか。裏で牛耳る裏番長的な?」
「誰が裏番長よ?」
「ほら、そうやってすぐ睨みきかせるところとか」
「うるさい。今はあたしじゃなくて、朔の話してるの。なんで断ったのよ? 朔の場合、副キャプテンさえ引き受けなかったじゃない」
「そういうの面倒じゃん」
「言うと思った」
「そういうのはやりたい奴がやるのが一番なんだって」
「だからってやっぱ峯田はないわー。少なくとも朔は峯田よりキャプテンに向いてると思うんだけどなー」
「めずらしいな。涼子が俺のこと褒めるなんて」
「これは客観的に見ての話。別にあたしは・・・」
「そうだよなー。涼子、俺のこと、顔と身長以外は平均点以下の男って言ったもんな」
「まだそのこと根に持ってるの?」
「ま、採点が厳しい涼子から顔と身長だけでも合格点もらえたってだけでもありがたいと思わなきゃな」
「言っておきますけど、顔は一般論であって、あたしはこれっぽっちも認めてませんからね」
「はいはい。どーせ俺は身長だけしか取柄のない男ですよー」
「その身長だって、バスケやってなきゃ取柄でも何でもない、ただ単に図体のデカイ男なんだからね」
「はいはい。どうせ俺は何の取柄もない男ですよー」
涼子とは小学生の頃からの幼なじみで、顔を合わせればいつもこんな感じだった。
それは「おはよう」とか「バイバイ」という挨拶みたいなもので、ごく普通の日常会話だ。
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