46人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、花は?」
わかりきったことを聞くと、涼子は「そんなの図書館に決まってるじゃない」と律儀に答えてくれた。
「どこかのバカと一緒で一番に教室出てったわ」
「ホント、毎日毎日よく飽きないよなぁ」
「今日は新刊が入ってくるとかで張り切ってた」
そういえば今朝そんなことを言っていた気がする。
「何がそんなにおもしろいんだか」
「ま、本だけが理由じゃないと思うけど」
「どういう意味?」
涼子はもったいぶって「気になる?」と聞いてきた。
「別に」と素っ気なく返す。
「あっそ。だったら教えてあげなーい」
興味がないと言えばウソになるし、興味があるなんて言えば涼子の思うツボだから言いたくない。
「朔も1回図書館に行ってみたら?」
「なんで俺が」
「花が毎日図書館に行きたくなる本当の理由がわかるから」
「別にいいよ、俺は」
涼子は俺の気持ちを見透かすように「ホントは気になるくせに」と言った。
「花だっていつまでも小さな女の子じゃないんだからね」
「どういう意味?」って聞きたかったけど、それはぐっと飲み込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!