第1章

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クリスマス。 俺は、柚木と一緒に過ごすことが出来なかった。 何故かって? 柚木が朝から晩まで部活で、そして部活が終わる頃には俺の店がかなり忙しい時間帯だったから。 クリスマスだっていうのに、なんでお好み焼き屋が忙しくなるんだって思うけど。 よく考えたら皆が皆カップルなわけじゃないし、むしろ恋人がいない男同士のクリスマスなんて、 お好み焼き屋に行く方が女の子も少なくて都合がいいのかもしれない。 まぁ、そんなこんなで柚木とは会えなかったけど。 クリスマスから数日後、改めて柚木とささやかながらプレゼント交換なんてものをする事になった。 「ぉお?ケーキだ!」 柚木の家に着いてすぐ、リビングにケーキの箱が置かれている事に気付いた。 「はい。今日先輩が来るって話したら、昨日の夜に父親が買って帰って来てくれたんです」 そんな柚木の言葉に、一瞬目が丸くなる。 ある思いが脳裏を過ぎり、聞かずにはいられない俺は柚木をマジマジと見つめながら言葉をこぼした。 「……………おじさん、ってさ……………俺たちの事何か勘付いてるの?」 だって。 男二人にケーキのプレゼントなんてさ。 ちょっと、おかしいよね? 普通、ないだろ?? 俺の言葉に今度は柚木が目を丸くする。 そして。 「あぁ、言ってませんでした?俺たちが付き合ってるの知ってますよ」 ………………… 聞いてないよね? うん、聞いてない。 え、ていうかこれ、最重要事項じゃない? 一番に伝えるべき事だよね?? うん。 とりあえず、怒ろう。 「~~~~ゆ~ず~きぃ~っ!!」 「わ!?ど、どうしたんですか、先輩?何怒ってるの?」 顔を真っ赤にしながら怒る俺に、柚木は本当に意味がわからないといった表情で首を傾げていた。 柚木の、バカ。
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