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「先輩の分もあるんです。着替えて下さい」
「うん、嫌です」
「先輩ぃっ!!」
バックにガーンと効果音がつきそうなほどショックを受ける柚木だが、こればっかりは許してやれない。
だって、コスプレだぞ?
サンタだぞ??
部屋で二人、コスプレ大会なんて。
うわ。
無理無理無理。
恥ずかしくて死んじゃう、俺。
俺が断固拒否をしていると、柚木はションボリと肩を落としながら上目遣いで俺をみて来る。
「…………これね、同じクラスの友達が、バイト先でもらったやつなんです。
でもそいつ彼女いないから、俺にくれたんですよ…………自分の希望を託す、って。恋人と使ってくれ…………って」
わぉ。
何とも余計な事をしてくれたもんだな、友達一号め。
カップルが皆クリスマスにコスプレで愛を育んでいるだなんて、どんだけ偏り過ぎた希望を描いてるんだ少年。
「…………俺……クリスマス会えなかったし…………少しでも先輩とクリスマスの気分味わいたくて…………」
そう言いながら目を伏せ俯く様は、それはもう、何とも哀愁が漂っていて。
俺は、悪くない。
嫌なものは、嫌。
無理。
「………………」
………………
で、も…………。
最悪、一回だけならいいか?
一回だけ、今後一切着ないっていう約束なら…………
それなら譲歩してやれるかも…………
ーーーーいやいや、無理でしょ。
………………けど…………
ーーーーーー
っぁあ!もう!!!
結局。
俺が折れてしまったのは、言うまでもない。
恥ずかしさで爆発したら、どうしよう。
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