第1章

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「先輩の分もあるんです。着替えて下さい」 「うん、嫌です」 「先輩ぃっ!!」 バックにガーンと効果音がつきそうなほどショックを受ける柚木だが、こればっかりは許してやれない。 だって、コスプレだぞ? サンタだぞ?? 部屋で二人、コスプレ大会なんて。 うわ。 無理無理無理。 恥ずかしくて死んじゃう、俺。 俺が断固拒否をしていると、柚木はションボリと肩を落としながら上目遣いで俺をみて来る。 「…………これね、同じクラスの友達が、バイト先でもらったやつなんです。 でもそいつ彼女いないから、俺にくれたんですよ…………自分の希望を託す、って。恋人と使ってくれ…………って」 わぉ。 何とも余計な事をしてくれたもんだな、友達一号め。 カップルが皆クリスマスにコスプレで愛を育んでいるだなんて、どんだけ偏り過ぎた希望を描いてるんだ少年。 「…………俺……クリスマス会えなかったし…………少しでも先輩とクリスマスの気分味わいたくて…………」 そう言いながら目を伏せ俯く様は、それはもう、何とも哀愁が漂っていて。 俺は、悪くない。 嫌なものは、嫌。 無理。 「………………」 ……………… で、も…………。 最悪、一回だけならいいか? 一回だけ、今後一切着ないっていう約束なら………… それなら譲歩してやれるかも………… ーーーーいやいや、無理でしょ。 ………………けど………… ーーーーーー っぁあ!もう!!! 結局。 俺が折れてしまったのは、言うまでもない。 恥ずかしさで爆発したら、どうしよう。
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