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おわかれじゃないよ、あんずちゃん。いつでも、どこにいても、おれはあんずちゃんをわすれたりしないし、ずっとあんずちゃんのことをかんがえてるよ。
だから、おれとあうときまで、なるべくなかないでね。かなしまないで、いっぱい、いきることをたのしんでください。
これは、あんずちゃんがおれにおしえてくれたことの、ひとつです。
なにかあったら、やはたか、ゆうくんにすぐにいうこと。がっこうでは、やはたとあそびなね。ほかのこたちも、ちょっとあんずちゃんにびっくりしているだけで、あんずちゃんのことを、ちゃんとわかってくれれば、ぜったいになかよくなれるよ。
おれは、ぜったいにあんずちゃんのところにかえるから。
だいすきだよ。
P.S
くまのぬいぐるみは、いつもいっしょにねてね。おれのかわりだとおもって、おれとあうときまでだいじにしてください。くまさんは、あんずがかなしいとき、つらいとき、さみしいときにいつもいっしょにいてくれる、まほうのくまさんです。くまさんにいろいろおはなししたら、げんきがないときでも、げんきがでます。だから、くまさんとなかよくしてあげてね!
よしひと
「これ、魔法のくまさんだって…」
「そう…義人くんが言うんだから本当に魔法のくまさんなのね」
「大人になったら、また会えるって…」
「義人くんね、お母さんに杏を産んでくれてありがとうございますって言ってたわ。なんだか杏は男の子なのに、お嫁さんにだすみたいだなって思っちゃった」
手紙が皺にならないように、ゆっくりと封筒にしまう。
胸がぎゅっとしぼんで、パンとはじける。
義人が言っていた、つらいのに幸せ…言われた時はなんのことだかわからなかったけれど、今だと少しだけわかる気がする。
くまに顔をうずめると、義人の匂いがして、また胸がきゅうとなる。
「こんな好きも、あるんだね」
「好き?」
「つらいのに、幸せって…好きってことじゃないの?」
「そうね、でもそれは好きよりも愛ね。義人くんも杏の事を愛してて、杏も義人くんを愛してるから、つらくても幸せなのよ、お手紙には、さよならが書いてあったの?」
「…書いてない。大人になったら会えるって書いてあったよ」
「そう、じゃあ義人くんを信じて待ってみたら、杏。義人くんは嘘をつくような子じゃないんでしょう?」
杏はくまを抱えたまま、大きく首を縦にふる。
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