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僅かに震える唇は、ふっくらとしていて柔らかで‥‥
「‥‥ん、っ‥‥‥‥」
驚きから溢れた声を耳に入れれば
人が少ないことへ感謝した。
さっきまで必死に掴んでいた指先から力が抜けるのを確認しながら角度を変えれば、さっきとは違う意味で跳ねた肩に力が入るのを感じた‥‥‥
目眩がしそうな程甘い口内に舌を差し込めば、弱くなった指先が肩のシャツを弛く掴んだ
「‥‥‥‥っ、ん‥」
息苦しく悶える眉を僅かな視界で捉えながら、この後‥‥
何て誤魔化すかを考えた。
甘い柔らかな舌を優しく吸い取り、静かに音を立てて離れる唇を見ながら‥‥
「落ち着いたか?」
他には選びようのなかった台詞を向けた。
「‥‥‥‥‥‥はぃ‥‥‥‥」
静かに返事を返した彼の横で、まるで何事も無かったかのようにスクリーンに向き合う。
まぁ、少しやりすぎたか‥‥‥‥。
そんな経験も無い相手からすれば、充分に刺激的で、恥ずかしくも穢らわしくも感じただろう‥‥。
だからこそ、此方は平然と遣り過ごす。
それはまるで、否定や拒絶する事も可笑しいのかと思わせるかのように‥‥‥‥
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