75人が本棚に入れています
本棚に追加
暗がりに並ぶ座席へと向かう。
平日の昼間ともあって、人は少なく
背の高い俺は迷惑に成らぬよう後ろの席を指定したにも関わらず、片手で数えきれる程しか居ない人数に溜め息を着いた。
「要らぬ心配だったな‥‥」
「いえ、僕もいつも後ろに座りますよ‥部長とは意味合いが違いますがね?」
座席の間をすり抜ける彼を見ながら、
中々気の回る奴だな‥‥なんて少しだけ感心してしまう。
-----
何故、こんな映画を選んだのか‥‥
「ひぃぃぃぃ!!!っわ、っ」
両手で顔を覆っては、僅かな隙間からスクリーンを見詰める彼の指定したのはホラー映画だった。
「ーーーっ、ひっ!」
見たいのか、見たくないのか‥‥
両手で耳を抑えたり、顔を覆ったりしながら忙しくする姿は謎に近い。
スクリーン上では静かに扉へとカメラが向かう‥‥
きっとこの後それらしき物が出てくるんであろう。
そんな予想がつくシナリオにも関わらず、隣では小さく肩を震わせる彼に思わず笑ってしまった‥‥
最初のコメントを投稿しよう!