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「健二‥‥だよね?」 時間が止まる‥‥‥‥ 懐かしい声が鼓膜に触れて、忘れていた筈の記憶がまるで走馬灯の様に走り抜け、ゆっくりと声のする方へと顔を向けた。 「‥‥晃(アキラ)」 「本当に‥‥久しぶりだね」 ゆっくりゆっくり近付いてくるアキラの髪がふわりと風に揺れる‥‥ すぐそば‥‥ 手を伸ばせば届く距離にアキラは居る 「奥さん、元気?」 随分と大人になったアキラが、 昔から何一つ変わらない笑顔を作る‥‥ 「‥‥‥‥ 」 声も出ない程、動揺してる。 ずっと、どこかで探していた‥‥‥‥ 会いたくて、触れたくて‥ そんな自分勝手を飲み込んだ俺を変わらぬ笑顔が見詰める‥‥
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