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「部長?」
現実に引き戻したのは、つい今しがた豚と話をしていた部下だった。
「あ、あぁ‥‥アキラ‥‥此方は部下の衛藤君」
「初めまして。」
横に並んで挨拶をする彼の表情を見るより、俺は今すぐにでも抱き締めたい衝動を必死に抑えていた。
「初めまして、アキラです‥‥‥‥
健二は部長になったんだ?凄いね」
綺麗な色素の薄い透き通った瞳‥‥
「綺麗な人ですね‥‥女性かと思っちゃいました‥‥」
「時々間違えられるんだ‥‥もういい年なんだけどね」
困ったように話す整った薄い唇。
「えー、同じ位に見えます‥おいくつなんですか?」
アキラから目を離すことも出来ない俺を置いて、話し込む二人。
「もう35だよ‥‥」
いつの間にか、アキラだって大人になってしまった。
「えぇ!!」
「君は、23位かな?」
「違いますよ!もう29なんです」
「えぇ‥‥それは見えないね‥‥」
仲良く話す二人の隣で、今にも吐いてしまいそうな緊張感で手に汗が滲んだ。
今までどうしてた?
あの後、何処に居た?
今、もう‥‥結婚したのか‥‥?
俺の事‥‥許してくれるのか‥‥?
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