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「ちょっと、ちょっと待て‥‥」 引き留めたのは、既に雨に随分濡れてから‥‥ 「‥‥‥‥すいません」 ぐっしょりと濡れた髪からボタボタと雨粒が落ちている‥‥ 「‥‥すいません、僕‥‥」 何処かに入るわけでも無くずぶ濡れになった二人に、 夕立から抜け出した太陽の光がキラキラと差し込んで照らした‥‥ 「‥‥あの人ですか‥‥」 「え?」 「あの人に僕が似てますか?」 静かに振り向いた彼の瞳には怒りに似た何かが蠢いている 「‥‥‥‥‥‥」 言葉を無くし、ゆっくりと手を離した俺を見上げた彼の瞳が揺れる‥‥ 「僕、あんなに綺麗じゃないですよ」 儚げに、切なさを含んだ声が投げられれば‥‥ 誰だってこうしただろう‥‥ 「‥‥っ、」 「悪い‥」 濡れた肩を抱き締めた腕の中、小さく鼻を啜るような音がした気がした‥‥
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