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「他の人達もいる?そっち。」
「いるいる~武司に変わるわ~!煩いから。」
梓から武司に変わった。
アルトテナーの掠れた声が響く。
GReee〇Nとか唄ったら似合いそうな声。
でもこいつのテンションにかかれば文字通り煩い。騒々しい声。
「うるさいってなんやねん。ういっす!まゆ消えて皆騒然としてたで~。
で、お前1ヶ月以上休んだら多分留年だぜ~。」
血の気が引く思いがした。
ま、じ、か。
帰れんし。本当どうしたら。
「マジ帰れないって!どうしたら!?」
「親に電話出来るんなら電話して休学手続きしてもらったら?」
「そ、そうね!そうする!!…………信じてもらえるかな!?」
「無理ね。」
近くで梓の声がする。
デスヨネー。
それぞれに返答を貰うが、
「これから無断欠席になりそうだわな。」
「ま、まぁとりあえず親に電話だね!」
無難すぎる答えです。ほとんど参考にもなりません。
「分かった。マジ泣けるわ。親に電話してみる。とりあえず先生に帰れないこと説明しておいてほしいです。お願いします。」
「分かった。まかせといて。じゃあ頑張ってね!」
「まゆ、死ぬなよ。」
「武司怖いからそんなこと言わないで!まぁ死なない程度に頑張る!」
私もぅ涙目だわ。心配してくれてるかどうか分からんわ。何か余計に怖くなっただけだわ。
二人の説明に説得力があればいいのだが。先生納得してくれたらいいのだが。
さて、親に電話……………。ん?
横を見ると呆然と青い目が此方をむいている。心なしか光輝いている気がする。
「どうしました?Mr.フレイス。」
「マユ、それはなんだ。」
「携帯電話よ。」
「ケイタイデンワ。」
「話したい相手と話す道具ね。向こうの世界では当たり前にあったやつだわ。」
「…………念話に似た奴か。でも凄いな、向こうの声が聞こえた。」
まだ目が輝いている。
盗み聞きか、解せぬ。
「え、こっちでもこういう話せる機械があるの?」
なんだ、こっちの世界の特権だと思ったのに。
「ある。でも魔力使うから多分お前からは送れない。それにケイタイデンワみたいに声漏れはしない。」
またですか。魔力ないとダメとか差別だし。マジ差別だし。
ダガシカシ、盗み聞きは無くてもさっきみたいに楽しい皆での会話はできるぞ!隣にいれば。
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