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「本当に何とかしてくれるんでしょうね?」
「何とかする。」
「見捨てないでしょうね?」
「見捨てない。」
「見捨てたら承知しないからね?」
「分かってる。」
「………絶対だからね?」
「イリア神に誓う。」
「………………さっきまで舌打ちしてたくせに。面倒なやつって言ってたくせに。人間かよとか言ってたくせに。誓えるのかよ。」
と心の声が漏れてました。
「………それはごめん。悪かった。」
さっきまでの嫌な態度はましにはなった?
んー、表情に変化がなくて分かんない。
………。
イケメンは顔を上げて真剣な表情で伝えてきた。
「それと、誓えるから。ちゃんと…守るから。」
…………っ。
な、何か心に染みた感じがする。
胸、いや、何か中枢らへんがふんわり浮いたような、浮遊感がある。
動悸も出てきたじゃないか。ドキドキするし。
ううぅ、気持ち悪いような気持ちいいような。ううぅ。
「バカ、イケメンバカ。カッコいいじゃないかバカ。カッコいいこと言ってんじゃないバカ。そんなこと言うなバカ。」
「…バカバカ言うな。」
仕方ない。怖いけど。
この集団も。
家に帰れない状況も。
知らない国も、学校も。
魔法も。
でも、こいつがいれば信じられる気がする。
「真由。」
「ん?」
「私の名前。ファミリーネームは言わなきゃダメなの?全部言うならあんただけにしか聞かせたくないから近づいて。何かこっから出れないから。」
そう、何か足元にまるっこい図と文字が書いてある。で、光ってる。
これが黒魔術とかにありがちな魔方陣とか言うやつだろうか。
この丸から外に出られないみたいだ。というか身動きとれないんだよ一度座ってから。
これは魔方陣の効果なのか、私が腰抜けて動けないだけなのか悩み所。
「分かった。」
イケメンは陣の近くまで近づいて目の前まで来ると跪いた。
魔方陣の光の壁に手をつく。
え。あれ。
私も何故か引き寄せられるように手をついた。
「名を。」
…あぁ、なんだろう。
全てを従いたくなってしまうこの感情はなんだろう。
顔が火照る。体が熱い。
早くこの人に近付きたい。
触りたい。
早く。早く、一緒に。
この人のもとに。
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