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自分の道は自分で決める。その強い心のあり方に、いままで周りに流されるだけだったまゆらは惹かれた。
『姫はもう充分この支部に尽くしてきましたよ。神の声が聞けなくなったなら、もう神降ろしの巫女として振舞わなくていいってこと。堅苦しいこと全部忘れて、この際普通の女の子になってみたらどうすか?』
一切のしがらみを振りほどいて、もう繕わなくていいのだと。そう、敏秋だけが許してくれた。
『姫でもなくて、宮野でもなくて、伯家まゆらさん?』
まゆらが宮野に養子に入る前の、名前。
いまでは姫と呼ばれるばかりで、まゆらという名前さえ、彼女は養父母にしか呼ばれていない。通っている高校でもまゆらが同級生と距離を置いているせいで、宮野さんという呼び名が定着している。
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