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――――――
「兄さん。入ってもいい？」
家に帰るなり部屋に引きこもってしまった麻雄に、麻里はドア越しに声をかけた。
先だって一人にしてくれといわれていたが、麻里は彼のことが気がかりで仕方がなかった。返事がないのは彼なりの拒絶か、眠っているかのどちらかだろう。
「入るね」
返事を待たず、部屋に入る。必要最低限のものしかないシンプルな部屋。そのベッドの淵に、彼はうつむいて座っていた。
「一人にしろと、いったはずだ」
咎めるでもない声には覇気がなく、灯りもつけずにうつむいている彼の顔は闇で見えない。麻里は、麻雄のそばまで足を進めた。
「来るな」
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