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俺は思ってた。 こうやって赤澤たちクラスメイトとバカやって、悪ふざけして、でも時にはちゃんと勉強もしたりして、入りたい部活があれば入って、好きな人ができたらたくさん悩んで告白なんてしちゃったりして。 そんな他愛もない日々がずっと、ずっと続くと思っていたんだ。 家に帰れば、家族全員が暖かく迎えてくれて美味しいごはんを食べて。 本当に俺が望んでいたのはそんな、他愛もない幸せな暮らし。 一点の曇りもなく信じて疑わなかった。俺の身には不幸はふりかからない、仮にふりかかってしまってもそれを取り除いてくれる何かがあるって。 他力本願、と言われたらそうなのかもしれない。 でも、それでも。 誰が自分の身に不幸が起こるなどと考えるだろう?普通は自分は世の中の不幸の輪から外れていると思ってしまうものなんじゃないだろうか? 少なくとも俺はそうだった。 あまりに世界を楽観視しすぎて、醜い醜い真実に気づくのが遅くなってしまった。誰もが隠している闇に、なかなか気づけなかった。 だからこそ、俺は壊れてしまったんだろう。 どこかに逃げるすべを持たなかった俺は、壊れる以外なかったのだろう。
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