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入学式翌日の部活勧誘。
新入生の俺たちはたくさんの部活からの勧誘を受けた。
サッカー、野球、テニス、バスケ、バレー、剣道、水泳、ラグビー…。
運動部だけじゃなく文化部からもたくさんの勧誘が来た。
赤澤は小学生の頃からスポーツ万能で、勉強よりも運動が好きな奴だった。だから赤澤は運動部の中でどこに入部するか迷っているようだった。
そして俺と言えば。
「朔、部活何にするつもりなんだ?」
「俺?俺は入らないよ」
そう、元から部活に入る気などなかった。
「え!運動できんのにもったいなくね?」
赤澤はそう言うが、俺にはこの学校で部活をやるよりもやりたいことがあるのだ。誰かに言ったところでバカにされるだけだし言わないけれど。
「とにかく、俺は部活入らないから。赤澤はどの運動部?」
「えー…朔入んないのか…」
あからさまにがっかりするなよ、赤澤。
「俺はたぶんバスケ部入るかなぁ、わりとバスケ好きな方だし」
「ふーん、いいんじゃない?赤澤ならどの運動部でも活躍できるよ」
「適当いうなよ朔~」
赤澤がまとわりついてくるが俺はそれを無視して笑う。
部活には入らない。
中学に入るずっと前から決めていたことだ。
俺は部活よりも何よりも大切な、やりたいことがある。
──俺は、ピアノが好きなんだ。
男子でこんな変わり者、そういないこともわかっているけど俺は部活をやるよりピアノを弾いていたい。音楽が好きなんだ。
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