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時間は午前零時前。
由奈の言ったようにホテルAIは空室があった。
この時の俺の心境はガッカリした気持ちとホッとした気持ちが入り交じっていた。
由奈は〔手慣れた〕様子で部屋を選び、俺の手を握り一夜を過ごす部屋へと向かう。
受付はどうするんだ?
俺の若い時はドキドキしながら受付をしたものだ。
だが、由奈は無人の入口で空室の部屋のボタンを押しただけで何もした様子はなかった。
その答えは部屋に入ってからわかった。
部屋に備え付けの電話が鳴り、由奈は宿泊と告げた後、電話の横にあるカプセルを取り出した。
「長岡さん、先払いなんです」
由奈の行動をボーッと見ていた俺はハッと我にかえった。
「そうなんだ。とりあえず」
財布から一万円札を取り出して由奈に手渡す。
「長岡さ~ん、お金持ちなんだ」
由奈はお金を受け取るとカプセルに入れ、なにやらはめ込んだ。そして、ボタンを押すとカプセルは音をたてて、吸い込まれていった。
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