欲望の声

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武器を奪われ、生身の状態で夢界に引き込まれた守り手たち。 守り手達を強制的に引き込んだ夢魔であるデザイアの張った封鎖空間は多くの廃墟が立ち並ぶ空間だった。 引き込まれたうちの1人、岸本凛は今までに感じたことのない不安を抱え、ひとり空間の中を動いていた。 全天の中心には不気味に浮かぶデザイアの"本体"があり、いつどこにいても監視されているようで落ち着かない。 加えて、凛の意識は現実と同じものであり、いつも夢魔達と戦っている"凛"ではなかった。 武器が奪われた状態で夢界に閉じ込められた時点で守り手にとってかなりの危険である上、現実の凛はこういった争いを好む性格ではない。 夢魔に襲われれば恐らく一人では対処できない。そこで、建物の中に身を潜めていた。 建物中は比較的綺麗で、多くの部屋があり、ほとんどの部屋に複数のベットのようなものが見られた。 恐らく元は医療施設か何かだったのだろうか。 これはデザイアが作り出したものであるから実際に使われていた施設ではない。 ただ、この先使えるものがあるかもしれない、そう考えた凛は建物の中を捜索することにした。
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