欲望の声

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「えっ、ちょ、お兄ちゃん!?」 いわゆるお姫様抱っこ状態の凛。 相手は兄であるが、凛も年ごろの女の子であり、恥ずかしさで少し顔を赤くした。 「ごめん、でも今あいつに対抗できる手は持ってないんだ。取り敢えず逃げるよ!」 走っている状態で降ろせるはずもなく、そのまま二人は建物から遠ざかる。 「っ!」 不意に、柊の右脚に鋭い痛みが走り、足を縺れさせてしまった柊がその場に倒れこむ。 ジーンズが切られ、少し先には血の付いたナイフが落ちていた。 アナザーも二人を逃がすつもりはないようだった。 痛みは立てないほどではないが、足がやられたことで移動速度は格段に下がってしまう。 そのため、すぐにアナザーに追いつかれてしまった。 「一度見たなら知っているでしょう?私はあなたの欲望を叶えてあげられる。なぜ逃げるの?」
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