欲望の声

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「……ボクさ、昔大切な人を失ったんだ。2年前だよ。」 「……」 「突然いなくなって、数日後に近くの海で発見された。 彼女さ、ボクが孤児院で初めて仲良くなった人で、人生で初めて好きになって、初めて告白して。ボクの初めてのほとんどを奪って行っちゃったんだ。 なのに突然スッと居なくなって。悲しかったし、悔しかったよ。」 「そう。それならあなたをその人に……」 アナザーがそう言いかけた時、柊の手が光り、そこに二本の日本刀が現れた。 「そう。だから"ありがとう"なんだ。君じゃない君が本物でなくとも彼女に会わせてくれたから、ボクは前に進めたんだ。」 そして、立ち上がると二本の刀を構える。 「ありがとう、マリ姉。ナイスタイミング。」 そう言うと柊はアナザーに斬りかかって行った。
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