神 壱正 1

2/15
67人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
この世の全ての人間が選ばれたものだけで構成された社会ならば、どんなに効率的で生産的な、生きる価値のある世界になるだろうか。 社会に不必要なやつは、いなくなってしまえばいいと思う。 もしくは、必要な者へと変わるかだ。 不必要なやつほど、変わる努力をしない。 不必要なやつは消え、必要な者のみで構成された世界になればいい。 神 壱正(ジン イッセイ)は、教室の扉を開けた。 クラスの男子は、昨日のくだらないバラエティ番組の話をして笑い合っている。 女子は、朝から恋愛の話をして騒いでいる。 くだらない。 話をするなら自分をどう磨いていけば成長するだろうかとか、これからの日本について話をしたらどうだ。 全くの時間の無駄だ。 壱正は、自分の席へと向かった。 壱正の席は、教員が立つ机がある一番前の席だった。 席に座ろうとしたとき、教員の机の下に一枚の小さな紙切れが落ちているのに気がついた。 教員の前の席のせいで、他の生徒は、周りにいない。 壱正は、その紙切れが気になり手に取った。 四つ折りにたたまれていたメモを開く。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!