中山に 優駿の雄 晦燃ゆ

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<季題> 晦、併せて優駿 <季節> 大晦日(正確には12月下旬の日曜日) 中山: 千葉県船橋市と市川市に跨がる地域名。この句では中山競馬場に限定。ただし、コース・パドック・厩舎の類いはもちろんのこと、スタンド等施設設備全般まで含めた競技場全体から広域を指すものとする。 に: 厳密文法上は与格の格助詞。同時にここでは「において」の意で処格も併せる。 与格処格共に中句下句双方または一方を修飾し得、中句が「雄」を主語とし主格格助詞並びに述語動詞「あり」を省略した形、下句が主格格助詞省略の主語(または与格名詞)と述語、と読解できる。 優駿: 謂うまでもない、国内外最強最速級でなければ出走不可の有馬記念を走る(走った)、文字通りの駿馬たち(サラブレッド系種3歳以上、牝牡不問)。ただし、勝馬のみでは決してなく、17頭足らずの馬ら全て及び一頭一頭を念頭に置くべし。また「駿」と綴ったものの、騎手・調教師・馬主を始めとする厩舎関係者から、開催者一同や観衆の一人一人に至るまで、この語に因んでどうか思いを馳せられたし。 の: 属格の格助詞。ここではまさに、所属・所有を表す。 雄: ゆう。「たけ(たか)」や「おす」ではなく。強さ・勇ましさ・優秀・傑出等の意。 上述に倣い、出走馬全て及び一頭一頭のそれとする。蛇足として、上記の通り有馬記念は牝牡不問の競走故、「雄(ゆう)」が男子の専売事項では断じてないことを付記する。因みに2014年有馬記念優勝馬Gentildonna(史上初ジャパンカップ連覇等国内外で重賞GⅠ勝利多数)の名は、「貴婦人」と翻訳され勝ちだが英訳するならば「gentle-woman」、さらに敢えて和訳して「紳女(淑女ではない)」である。 晦: みそか。一般に各月最終日を指すが、この句では大晦日、即ち年末(最終日)を限定して指すものとする。よって、各々の月末に渡った季節不問とはならず、冬の(主要)季題となる。 正確には有馬記念開催日は12月下旬の日曜日(現行では22日以降、2014年は28日)であり12月31日に相当することはないが、「年末の風物詩」たる有馬記念を競馬カレンダーの「大晦日」と見做し、また午年を締め括るにあたって、敢えて「晦」の語を適用した。 燃ゆ: 「晦」に、燃えたものは果たして何であろうか。何に、如何に燃えたのであろうか。各自自由に想像せよ。願わくば、雄姿を示した駿馬らが燃え尽きてしまうことなく、末永く燃え続けていけるよう。
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