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「いやー、今日もモテないな」
千鳥足で夜道を歩いて帰る鈴木であった。
外観は、痩せている事もあり、頼りなさを前面に、
一見、女性の目を引く感じではなかった。
いわゆる「モテない男」であった。
今日は、職場の仲間と合コンに誘われ、
一種の引き立て役になっていたが、
本人は、彼女を作る気満々であった。
しかし、惨敗であった事は言うまでもない。
職場では、お荷物扱いになっていた。
課長が鈴木を呼ぶ、
「鈴木、今月もビリだぞ。もう少し頑張ってくれよ」
目標の売上も足りないので、
当然、標的は、ビリの鈴木だろう。
「また、小言かよ」
心の中で呟いて、課長の小言に耐えていた。
「わかったか、鈴木」
そう言われて、解放された。
鈴木は、ビリになりたくて、ビリになっているのではないと、思っていた。
「俺が、皆の代わりになっているのによ、課長も分からないんだな」
とも思っていた。
「営業、行ってきます」
事務所に居ても、する事が無いので、
営業と格好つけて外出した。
会社の外で、担当先に電話を掛けるが相手にされず、喫茶店で時間を潰し会社へ戻る。
うだつの上がらない男であった。
そんな中、職場の同僚が人数合わせの為、鈴木を合コンに誘ったのであった。
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