帰り道

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鈴木は、ほろ酔い気分の千鳥足。 しばらく歩いていると霧雨が降ってきた。 「雨か、傘を差すほどでも無いな」 ほろ酔い気分の鈴木には、心地良い雨であった。 突然、黒塗りの車が鈴木の横で止まり、 助手席から体格の良いスーツを着た男が後部のドアを開け、 体格の良い男と、品のある紳士が車から降り、 体格の良い二人の男が、両脇を守る様に歩きだした。 ほろ酔い気分の鈴木は、その前を横切ろうとした時。 右の男に突き飛ばされ、濡れた歩道に転んだ。 「何するんだよ!」 そう言って起き上ると、入口に吸い込まれる様に、三人が入って行くのが見えた。 「あれ、こんな所に店があったかな」 いつもは、レンガ造りの倉庫の壁と思っていた鈴木は、店が気になり看板を見に行った。 黒の鉄製のドアに、スポットが当たりドアには何も書いていなかった。 ドアの横には、インターホンが有り、その上のレンガに「夢首」と表札の様に文 字が彫ってあった。 「バーかな、何て読むのかな」 ドアが開き先程の三人が出てきた。 鈴木は、また突き飛ばされるかと思い、二、三歩後ろへ下がった。 真ん中の紳士の横顔が見えたが、何処かで見たような顔であったが、 思い出せなかった。 紳士は、 「後は頼む」 そう言い残して、車に乗り込んだ。 気が付くと、鈴木の横に気品のある老人が立っていた。 「汚れておりますね」 そう言うと、鈴木をドアの中に招き入れた。
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