ツララ国

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それを聞いて不思議そうに首を傾けるビオラさん。 「マーガレットちゃん、滝は虫じゃないよ。水。」 「え。」 「上から、ザーッて水が延々と落下してるのが、滝。虫じゃないよ。」 流石に高級学校に通う生徒さんにはかなわない。 マーガレットがリュに冷たく睨みつける。 「嘘つき」 グサ! その言葉は、胸を深く抉る。 ははは、厳しいなあ……。 「虫って、もしかして、このトブさんから聞いたの?」 「うん」 「ひどいね」 「うん」 小さい女の子二人の会話がまさか陰口だとは。 しかも丸聞こえ。 「トブサン、なんで、滝、行きたくないの?」 「ええーーっと、あれだよ! そうそう、昔、滝にまつわるこわ~い話を本で見たからさ」 「どんな?」 しまった、本の話となると興味を抱くこの少女! うむ。 「……ある日、お姫様が王子様に告白しました。すると、そのお姫様は実はお金目当てで王子様に迫った事がわかったのです。」 「それで?」 「えー、えーと。確か……お姫様は、王子様を殺してしまって、国をいくつも支配することになります。世界が荒れてしまいました。」 「グロ」 我ながら大作! これで大ヒット間違いなし。 「それで?」 「おしまい。」 「滝は? 滝はどこに出てきたの?」 「あ」 忘れてた。 いや、でも、考えるんだ……。 「そうそう、王子様がお姫様を滝つぼに落として、何もかも終わらせようとしたんだ。お姫様には魔の力がかかっていたからね、そうするしかなかった。」 「魔の力? さっき、そんなの、なかった」 黙っていてくれ、マーガレット! ザ・トブ劇場はまだ閉幕しない! ヒートアップ!! 「でも、それが逆になってしまって、お姫様の魔の力が上回り、滝つぼに王子様を落としてしまった。しかし! 途中で助かり、もう一度、今度は説得しようとする。するとお姫様は心が揺らぎ始めて、その時の魔の声で足を滑らせてしまう!」 「ドジ」 う、うるさい! ここは感動の名・名・名シーンだ! 泣くのだ! 皆の者! 「それを、王子は勇者となり、姫を助け、幸せな国家を築いてゆくのだぁぁっ!」 「さっきとお話し違う」 黙らっしゃい!! これこそが、ザ・トブ劇場だ! 「なんか、へんなはなし」 グサ!
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