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「はい?」
リュ達は、まだ国に入ってもない。というか、今入ろうとしているところだ。
その伝説ともなった「ツララ」をモチーフとしたのか、今居る場所は周りが全てガラスでできている。細い柱状になっていて、天井まで続く。天井のど真ん中には今にも落ちてきそうなツララ。もちろんガラスだが、きちんと先が尖っている。地震でもあったら危ない。
国の入り口で町パスを見せた。それでOKだった。
のだが。
「お連れの方。お客様のパスポートは……」
マーガレットの町パスを見せた。マーガレットはそれで入国審査クリア。
リュは「兄です」と言ったはずだが。
「だから、リュはマーガレットの兄で」
「兄だろうが子だろうが、関係ありません。入国には、1人一枚のパスポートが必要なことを知らないのですか?」
な?!
「え、じゃあ、リュは……」
「リュって、どちら様です? お客様の名前はトブ様ですよね? それとももうお一人来られるのでしょうか」
黒い無地のワンピースに身を包んだ、対応の若い女の人がポニーテールの髪を揺らしてキツイお言葉を浴びせてくる。
リュはリュです。自分の事です、なんて説明するのも悲しくなる……。
「じゃあ、リュは入れないんですか?」
「残念ながら」
そんな?!
「どんまい」
マーガレット?!
リュを見捨てるのか!
少し鼻で笑うマーガレット。
そうだ。
「馬は! 馬はどうなんですか?」
「人ではありませんので、対象外でございます」
「ぬいぐるみは!」」
「当然ながら持ち物という判断になります」
があああああああん!
そうだ。
「電池は? 電池はパスポート要りませんか?」
「さっきからお客様、なぜそのような当たり前すぎることを」
ですよね……。
じゃあ、リュが電気に戻って、電池に入ってからマーガレットと共に入国審査を抜けるのは大丈夫ということだ。よし、これでいこう!
……いや、駄目だ。
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