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リュより3つ程年上だろうか。ほとんど黒だが、光の具合では青く見えるワンピースだ。いや、メイド服の様にも見える。同じ生地のレースが付いているのだ。何やらいろいろ乗ったワゴンを押している。
ワゴンを押した女の子は、カウンターの横から出てきた。
何が乗っているのかと思えば、さっきマヘさんが頼んだものだ。
ストローのさしてあるオレンジジュースに器いっぱいのキャンディ、チケットが4枚にカゴに入った大量のニンジン。それに湯気を立てるコーヒー。
はああ…………。
本当に出てきた。
マーガレットとビオラさんはオレンジジュースをワゴンから持って行き、飲み始める。
リュは、今キャンディを頬張るべきなのだろうか? うーん。
「本日は、ようこそいらっしゃいました。先ほども紹介させていただきましたが、改めて。担当になりました、ユリバ・ラズです。宜しくお願い致します。当国のご案内や説明、お手伝いをさせていただきます。」
深々おじぎをするユリバさん。
リュも慌てておじぎをしたが、他は誰も頭を下げない。きっと慣れているのだろう。……マーガレットを除いては。
ライは相変わらず、お利口に少し離れたところに突っ立っている。
「こっちはネコロ・エグサ。まだ見習いですので、どうか気になさらないでくださいませ。」
キョロキョロ辺りを見て、気が付いたように勢いよく頭を下げるネコロさん。
本当に慣れないようだ。
ユリバさんは続ける。
「確認のため、お客様もお名前を頂戴いただけますか。」
今度はマヘさんが頷いた。普通に首を縦に振っただけだと思うが、どうも迫力がある。
「マヘ家の主、リケン・マヘだ。」
それについていくように、次々自己紹介。
「マヘ家の次女、ビオラ・マヘ、です。」
次女?
ってことは、お姉さんがいたのか。知らなかった。
「マーは、マーガレット。マーガレット・カタラ。」
「リュは、名前がな」
、い。
そこまで言ったところでマーガレットに口を塞がれる。
小声で「どうしたんだよ」
「名前ないってこと、言わないほうがいい。怪しい」とマーガレット。
そうかあ。
「トブ・サンダー。リュはトブ・サンダーです。」
「わかりました。国中、マヘ様がご同行の際は、お二人ともサービスをお付けするように致しますので。そのおつもりで。」
凄い……。
一緒にいるだけでサービスが付くんだ。
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