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「セッティングはこれでOKだから、次は実際に録音をする。藤城、スイッチ入れて」
僕はミキサーやレコーダー、マイクのスイッチを順に入れていく。電源が入った印である緑や赤のランプがぼんやりと光った。
「あー、あーー」
榊先輩がマイクに向かって出した声は電気信号に変換されて、黒いケーブルを通りミキサーへ送られる。その中では音量等が調整・統合されて、最終的にレコーダーのメモリに記録されていく仕組みだ。ミキサーにはマイクを繋ぐためのジャックが10個以上並んでいて、その下にジャックから入力される音を調整するためのつまみがいくつもある。この縦割りされたジャックとつまみのセットをラインというらしい。ラインには音量を示すランプも設置されていて、それぞれのラインに入力された音の音量がどれくらいか一目でわかるようにメーターになっている。
先輩が声の音量を上げていくとメーターが緑色のゾーンを突き抜けて赤色のゾーンまで達した。赤色は、いわゆる"音割れ"の状態だ。
「秋葉さん、ちょっと喋ってみて」
「え、あ、はぁーい。…あ、あーーー。なんかこれカラオケみたーい」
秋葉さんに喋らせてる間に榊先輩は手早く音量を調節する。そういうことをあと数回繰り返してようやく録音の準備が完了した。そこからは、1年生3人でマイクの前で喋る役を交代しながら、それぞれ調整の仕方や録音の仕方を教わった。
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