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「そこでほれ、お前さんにも分けてやろう。こいつを砕けば自身の魔力に呼応していろいろな力が出る。お前さんの場合は聖なる力……でええんじゃろうか。それでこの旅も楽になるじゃろうて」
色とりどりの宝石を渡される。数は十個ほど。これだけあれば充分だろうか。
「それでお前さんには感謝を込めて作り方まで渡そう。もう少し研究が進めば一般化出来る。それまではカリの作り方じゃがあると便利じゃろう。旅の暇つぶしにでもするがよい」
仮とはいえ作り方まで出来上がっているのか。
「色々すまんな。ありがたく受け取っておく。しかしこっちにも条件がある」
「ほう、なんじゃ言うてみい」
「これが完成した時、私の名前は絶対に出さないでほしい。あまり私の名前は知られたくない」
表に出来ない稼業故に名前を公表されたくはなかった。名前がバレれば必然的に私を探す人間が現れる。それだけは絶対に避けたい。
「お主が訳ありなのはわしがよう知っておる。しかしこの世界に嘘は付けない。その結果が……知っておるじゃろう。だからといって今お主の名前を出すのはたしかに得策ではない。どうしたものかのう」
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