第1章

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「チッ、湿気てやがる。まぁこんな小さな組織なんだ、こんなもんか」  金を漁っては懐へ仕舞い、貴金属があれば商人に売りつける。それを繰り返していた。  他にも食料、弾薬、そういったものを補充しながらカツカツと歩いていた。  暗闇の中で黒い服、そうそう目立つものではない。こちらを視認できるほど奴らは目のいい人間ではないだろう。酒と女に溺れ、自堕落な生活をしているのだ。当然のことのように思えてくる。 「さて、こんなものか。私もさっさとここを出ねぇとまずいな。またお巡りに捕まりに行きたくねぇ」  過去にポカをして何度か捕まっている。さすがに学習した。何度も殺されかけた。ぶかぶかな服を着ているのはそれが理由。  カツカツと足音を立てて洞窟を出て行く。やれやれ、小さな組織の割に深い洞窟だったな。
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