第1章

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 洞窟を出ると月の光が草原を照らしていた。そこで自分の服についた汚れを確認する。よし、今回も無傷か。服も汚れていない。ひらひらと舞う服を半分引きずりながら歩いて行く。宛はない。ただ街があればそこで休息を取る。野宿は最終手段といったところか。あまり野宿は好きではない。見た目上もよろしいものでないだろう。 「西に行けば街があったはずだ。そこで宿を取ろう。まだ空きがあるはずだ」  そう自身で確認して西へ向かって歩き出す。月が出て間もない時間だ。半刻も歩けば着くはずだ。身柄上宿を取るのは容易い。この体躯で宿が取れないというのならよほど窮困した状況なのだろう。  私は歩く。ただひたすらに。地図と方位磁石があれば迷うことはない。時折通る冒険者の後を追いながら歩いて行く。私はどう見られているのだろうか。
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