第1章

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 どれくらい歩いただろうか。何人もの冒険者を見て、見送ってきた。そして見えてきた街。ここから大分歩いたと思う。それでも何とか辿りつけた。  街に入ると物珍しげに私を見てくる人間がいる。当然だ。子供の身でぶかぶかのシスター姿。不思議がられるのも無理は無い。好奇の視線も侮蔑の視線ももう慣れた。  宿を探して歩きまわる。石で作られた街並みに感心しつつ歩きまわる。あまり人目につきたくない。どこか裏路地の安宿がいいのだが。  夜ももう遅い。こんな格好をして表を歩きたくない。普通のシスターなら教会に戻って明日に備えている時間だ。つまり私は訳ありなのだ。  適当な宿を見つけ中に入る。薄汚れた石の建物に安宿感を感じつつカウンターへ向かう。 「いらっしゃい。と、こんな時間にシスターか。何か用事でもあるのかい?」 「宿屋に入るのに酒を頼む客がいるのか。驚いた。部屋は空いているのか?」  やれやれといった感じで答える。私だって一から説明しているほど時間はない。歩き疲れてさっさと寝たいのだから。 「全く、嫌な客だよ……。部屋は空いてる。いくら払えるんだ、嬢ちゃん?」  嫌な人間だと言われるのも慣れっこ。昔から口が悪くそういう環境で育った。尚更なことだ。 「ふむ、相場的にこのくらいか?」  手に入れた宝石をカウンターに乗せる。目算で一番安い宝石なのだが、お気に召したらしい。 「いいだろう。部屋へ案内する。ここでは一等上等な部屋だ」  あまり過度な期待をせず部屋へ行く。見せられた部屋は思ったより綺麗な部屋だった。 「物はないがくつろげるだろう。ゆっくりしていってくれ」  何だ、案外いい店長なのだなと思いつつ服を脱ぎベッドに飛び込む。ジャラジャラとうるさい宝石は明日商人にでも売ってしまおう。  そのまま勢いで意識を落としていく。すんなりと落ちていく意識に疲れを感じさせられた。そんな気がする。
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