プロローグ

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 ある日の昼間、何の変哲もない、日本のある都市でのこと。人々がいつもと変わりのない日常を送るその市街地の上空に、彼女は現れた。銀に近い白色の長い髪をした少女は、見たところ十五歳前後のような外見をしている。彼女は上空に留まったまま深々と一礼をした。姿勢を正した彼女は、まるで眼下の市街に語り掛けるかのように、恭しく宣言した。 「雇い主様のご用命により、ただいまからキャンペーンを開始致します」  少女の言葉が終わるや否や、彼女の姿は静かに青空へと溶けていった。少女の謎めいた宣言とは裏腹に、そこにはただ見慣れた青空が広がるのみであった。
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