嘘は現実に

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「凛くん、おはよう!」  元気に明るく挨拶をする彼女の名前は、九条 雅(くじょう みやび)という。髪はウェーブの掛かったミディアムヘアーで、亜麻色をしている。  雅とは中学生の頃からの付き合いで、同じ高校へと進学したために今でも仲良くしている。俺としては、幼馴染のような感じだと思っている。 「おはよ。今日はなんか早い?」  高校2年生の今に至るまで、早く来たのは初めてである気がする。 「そ、そうかな……えっと、ご飯まだだよね? 作っちゃうから!」  そう言いながら、雅はウェーブの掛かった亜麻色の髪を弄る。そして、俺が返事をする間もなく部屋へと入ってしまった。まぁ、いつもの光景だ。  俺は別にいいと言っているのだが、こうやってご飯を俺に食べさせてくれるのである。高校生に上がり、俺がアパートで一人暮らしを始めた頃から、雅は学校のある朝はこの部屋を訪ねて来るようになったのだ。  朝の弱い俺にとっては、とても助かっているので実はありがたかったりするが。 「じゃぁ、それまで寝ていようかな……」  そう言って、俺は布団に潜ろうとする。少しでもこの温もりを感じていたいのだ。 「凛くんは中々起きないんだから駄目だよっ! 座っててね」  それなりの付き合いだけあって、雅は俺のことをよく知っている。駄目と言われては仕方がないと、座布団に座っては、ちゃぶ台の上へと突っ伏す。  
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