第1章

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 毎日、毎日というのは明るい時間と暗い時間一回づつ。 選択、掃除、炊事、木の実を集めて、一応、釣りも練習。 それから、お勉強があります。読み書きもなんですけど。  お母様は本棚に何冊もの本という、文字や絵が一杯の、 お勉強できる物を、最後のお誕生日に贈ってくれました。 それまでは、本棚にはお母様だけの布が掛かっていて。  私はお母様と一緒でないと、本に触ってはいけなくて。 だから一緒にお勉強をしてたのです。本は大切にしてね。 お母様はいつも言ってました。お勉強は好きなんです。  お母様が居なくなって、私とお話は出来ないけれど、 お話を教えてくれているのは、本だけなんですから。 ただ沢山の本の代わりに、お母様がどこかへ行きました。  いつかまた会えるのだそうです。それまでお勉強です。  時々だけど、お母様に叱られるかもしれないけれど、 少し寂しくなります。そんな時、玉の火は七色に光って クルクルと私を回ってくれるのです。撫でるようにです。             *  実はもう少し、寂しいのと違う変な気分が偶に起きます。 寒くなる冬になると、外や空が真っ白だと見えにくいけど、 春から秋までの間、お外には二つだけ知らない物がいます。  石とか岩というのは勉強しました。ゴツゴツしてたり、 転がっていたり、どれも形が違います。樹や草花もですが。 でも、小屋のドアのように、奇麗な板のような真っ白な。  そう、小屋に一つだけある鏡みたいに、キラキラしてて、 円柱のようなのも、真四角なのもあります。草花とか樹は、 多少は似ても、こうなりません。お母様が作ったのかな。  お母様は玉の火のように、教えてはくれない事も随分と あったのです。本で知りました。草花の丘を端っこまで。 そこには、海というのがある本には書いてありました。  水が物凄く大きな物……ですが池の大きな感じではなく、 空の青いのが白くなる、ああ、そう雲とかに似ています。 足元に雲にそっくりな海が、広がっています。              *  町とか、お母様以外の沢山の人、何と私位の十一歳と、 二回位の冬を足した女の子も、いるみたいなのです。 違うのかな。ずっと前に居ただけなのかも。  冬の間は沢山のお勉強をしていたから。  私の知らない事を沢山、本達は話してくれて。でも、 これは作り話なのかも。想像力とか寝てるときの夢とか。
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