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俺の友人は、少々恋愛観がズレている。いや、ズレているはおかしいか。
友人は、愛するということが分かっていない。
その証拠に、付き合って半年くらいしてから、俺は友人からある恋愛相談を受けていた。
「彼女が、僕のことを愛しているらしい」
「お、おう……」
手土産もなしに俺の家に上がり込んだと思えば、開口一番それだ。
まあ長いつきあいだし、多少のことには目を瞑るが……。
「僕は好きだから『好きだよ』って言うんだけど、彼女は『愛してる』って言うんだ……」
時々思う。こいつは馬鹿なんじゃないかと。
「それのせいか最近、彼女は僕が『好きだよ』って言うと、少し不満気な顔をするんだよ……」
あぁ、こいつ馬鹿だ。
明らかにその彼女は友人のことを想っているというのに、肝心のこいつは……。
「僕、彼女に何かしたかな……?」
「あー……」
この阿呆になんと言うべきか。率直に言うか?いやでも、こういうのは自分で気付くべきだよな。
俺が頭を捻ること三十秒。
考えてて馬鹿らしくなってきたので、俺の前で困った顔をしている友人にすっぱり言うことにした。
「それはお前が悪いわ」
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