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「でも、好きなんだよ……」
どうやら友人の中では、まだ彼女は愛せる域に達していないらしい。
「嘘を吐けとは言わないが、なんでもかんでも正直に言やぁいいってもんじゃないだろ……」
一応アドバイスらしきものはしておく。要は、ちょっとくらい『愛してる』とか言ってやれと、そんな意味を込めた呟きだった。
「…………」
だがこの友人は、いまいちよく分かってないらしい。どうしたらいいのかが分からなくなってるな。
俺は肘をついて、友人を見据える。
「ってか、その前によぉ」
「?」
「お前、本当にその彼女のことが好きか?」
カマをかけてみる。すると友人は、心外だとでも言うように俺を見た。
へえ、ちゃんと好きではいるのか。
「好きだよ、大好き。じゃなきゃ、付き合わないよ」
「じゃあ、彼女のことを愛しているか?」
俺にそう言われ、友人は目を瞬かせる。多分、色々考え込んでいるんだろう。どうせろくな答えなんか出ないくせに。
友人は、愛を分かっていない。
ま、俺も分かんねえけど。
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