3人が本棚に入れています
本棚に追加
数週間後、友人が上機嫌で俺の家に押し掛けてきた。大量の手土産と共に。
「うおっ、こんなにどうしろと」
「いいからいいから。冷蔵庫入れとくよ」
いや俺がよくない。
「新手の嫌がらせか?」
「日持ちするから大丈夫だよ」
そう言って、友人は家主である俺の許可も取らずに、冷凍庫からアイスを取り出した。そして食った。
「いや食うなよ」
「あぁ、うっかり」
アイスを食いながら、そう言って自分の頭を小突く友人。お前がそれをやっても何一つ可愛くないからな、そういうのは可愛い女子がやるもんだ。
アイスに関しては、手土産に免じて見逃してやり、俺達は座って一息吐く。
他愛ない会話をする事、一時間以上。俺はふと、友人が大量の手土産を持ってきた理由が気になった。
「……で、今日はどうしたんだよ」
「そうだ、聞いてよ!」
友人は両手を《パンッ》と叩き鳴らし、俺を指差した。ちょっとびっくりした。
「僕、彼女に愛してるって言った」
「え?」
唐突過ぎて気の抜けた声が出る。というか、彼女に愛してるって?言った?
それってつまりは……。
「彼女を愛せるようになったんだ」
友人は、とても嬉しそうに、どこか楽しそうに笑ってそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!