次こそ愛します

「へえ、よかったじゃん」

俺はぽろっと、心からの本心を零した。

「うん。ありがとう」

「べぇっつにぃ」

友人に笑顔でお礼を言われ、俺は少し照れくさくなる。思わずそっぽを向いて雑に返事をした。
友人を盗み見れば、さして気にした様子もなく微笑んでいる。……分かったような顔しやがって。

「それよかお前、俺のとこ来て結構経つが、彼女はいいのか？」

「なんで？」

友人はきょとんとして、意味がまったく分からないという顔をしていた。
俺は驚いて、思わず声を荒げる。

「なんでってお前……こないだまでは彼女がどうとか言って、早いとこ帰ってたじゃねぇか！」

「あぁ、大丈夫だよ」

友人は俺をなだめるように、さっきと変わらない笑顔で答えた。

「だって、彼女と僕は愛し合っているから」

「ふぅん……」

友人の言葉に対して、俺は自分でも不思議なくらいに、冷たい声が出た。

多分、友人は彼女を愛せていない。
長年見てきた俺の友人のことだ、何かを履き違えていることだろう。

例えば、『愛』ということそのものに対して……とか。