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次こそ愛します
俺の友人が恋をしたらしい。
しかもまもなく付き合った。
付き合ったその日に俺に連絡をよこしてきた友人は、幸せ絶頂期といった模様だ。
〈それでね、僕に――〉
「あぁはいはい、分かった分かった。そろそろ三時間経つから切っていいか」
いつになく饒舌(じょうぜつ)な友人に軽く引きながらも、俺は友人のお喋りを止める。
〈……しょうがないなぁ〉
「それはむしろ俺の台詞だ。長話するなら彼女としろよ」
〈それは彼女に悪いよ〉
「俺ならいくら迷惑かけようが気にしないと」
三時間も惚気を聞かされる身にもなってくれ。
そんな意を含めて言えば、友人は渋々〈分かったよ……〉と言ってくれる。
「じゃ、お幸せに」
〈うん、そっちも早く恋人見つけなよ〉
「うるせぇ」
《ブチッ》
ついつい、乱暴に電話を切ってしまった。まあ友人だし、気に止めることもないだろう。
「……にしても、あいつに彼女ねぇ……」
俺は三時間も惚気を聞かせてきた友人を思い起こす。
「持って半年、いや一年か?」
それが、俺の純粋な感想だった。
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