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でも、そんな夢の時間はあっという間に過ぎちゃうもので。
「こ、こまでくれ、ば‥大丈夫、だろ‥。」
ゼイゼイと言いながら彼がそう言った。
僕はその言葉を聞いてハッと我にかえり、息を整えながら周りを見回した。
(ここ、は‥‥B棟‥?)
「ごめん、さっき、ここに、来たいって言ってた、から、連れて来ちゃった、けど‥。」
汗を腕でぬぐいながら、さっきの穏やかな顔とはまた違う爽やかな笑顔で僕にそう言う。
(あ‥そうか、さっき‥‥。すごい、あんな状況の中でそんなことまで考えてくれてたなんて‥‥やっぱり優しい‥
ていうか‥かっ、かっこいい‥)
相変わらず第3者から見たらハートマークだったであろう目で彼を見つめてしまう。
「‥あれ、違った?」
僕が彼を見ながら固まってしまったので不安になったのか、彼は首を傾げてそう聞いてきた。
「(こ、今度はかわいい!!!!)」
と心の中で悶えながらぶるぶると首を横に振る。
「よかった‥。さっきは大丈夫、だった?何もされなかっ、た‥‥?」
「全然平気!むしろぶっとばしてやろうと思ってたし!」という気持ちを込めて、今度はコクコクと首を縦にふる。
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