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入学式ではまーくんと隣になったものの、緊張してほとんどまーくんの方は見られなかった。
耳まで熱くて、顔が真っ赤なのも自分で分かるくらいだった。
それでも話そうと決心してまーくんの方を向いた瞬間、まーくんの隣、つまり僕の隣の隣の男‥あのKY柳流星が僕のまーくんに話しかけたせいで僕の出番が消え去った。
むしゃくしゃした。
僕は講堂から教室に帰る時、そいつに足を引っ掛けてやった。
でもヤツはスポーツの特待で入ったらしく、運動神経が良すぎて転ばなかった。
教室に帰ってから席に着くと、まーくんと席が遠かった。
僕は出席番号順の席なんて今すぐ廃止すべきだと先生のところに話し合いに行かなきゃと思った。
後ろからぽんぽんと肩を叩かれ振り返った。当時後ろの席にいた篠田龍樹だった。
「ねぇ、黒いオーラ漏れてるよ。」
「そうですか。」
「いやそうですかじゃなくて。みんな怯えてるから引っ込めな。それと、はい、ハンカチ。ポケットからさっき落っこちた。」
(みんな‥?渡辺優くんも怯える‥?怯えるってことはかわいくはないってこと‥?)
「あの。」
「はい。」
「僕いまかわいいですか?」
「全然。般若みたい。」
「分かりました。ありがとうごさいます。」
すぐさま気持ちを落ち着けて再びまーくんのところに行こうとしたら、まーくんは呑気な柳流星と笑いながら楽しそうに話していた。
ブチッ
ビリビリビリッッッッッッ
「‥‥はい、ハンカチ。いま破ったやつ。」
「‥‥‥‥‥ありがとうございます。」
僕は思わず手元にあったハンカチを破いてしまったようだ。
龍樹以外、僕の近くにいた子たちはみんな僕のことを化け物みたいな目で見てきた。
お前ら全員覚えてろ。
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