第二章

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「いや‥。」 智沙の姿をみて正直ドキッとしたが、平常心を装いつつ葱をつかんで立ち上がる。 「まーくん‥」 顔を真っ赤にして俺を上目遣いで智沙が見てくる。 「智沙‥‥」 俺も戸惑いながら智沙を見つめる。そして、さっきのことを謝ろうと口を開いた 「さっきは「ゲホッゴホッウッホン!」‥‥‥」 ら、龍樹の咳で遮られた。 「た、龍樹!大丈夫か!?」 葱を持って智沙を素通りして龍樹に近付く。 「あ‥あぁ、悪い‥!!!?」 龍樹の滅多に開かない目がなぜかかっぴらき、そしてどんどんと顔が真っ青になっていった。 大変だ、確実に具合が悪くなってる! 「待ってろ!すぐ作るな!!」 俺は台所に向かってダッシュした。後ろで龍樹の引き止める声がしていたが、俺が台所で急ピッチで葱を刻んでいる頃にはその声も薄れていった。
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