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シュアファイア製のFA762Kサプレッサーが発砲炎を消し去った。真鍮の薬莢が用済みとばかりに排出され草地に落ちる。
当たって当然と言わんばかりに落ち着き払っている兵士の自信は結果に繋がった。発砲で舞い上がった砂煙が視界を塞がない様にしていたが、それでも緑色の視野はぼやける。
「命中」
監視に立っていたテロリストが小銃を手放し崩れ落ちたのを確認、先行する部隊は足早に目的の建造物に取り付いた。
後頭部を失っているテロリストの死体を無視し、突入予定の玄関に向かう。男は玄関から紳士的に、という事だろうか。
「ルナ、突入する」
MP5Fを手にした隊員が木製のドアを前に爆薬を仕掛ける――扉1枚に時間を掛けてはいられない。
片手でスイッチを押すと、ヘルメット後部に着けたストロボが暗闇で緑色に光る。PVS-14を跳ね上げ、銃身下に備えたPEQ-15のライトを赤外線から可視光に切り替える。
爆破、噴き上がる砂煙を抜けて駆け込む。
足元を照らしていた光の輪を振り上げ、その中心に顔から鮮血を流す男を捉えるや切り替えレバーを押し下げて発砲。
サプレッサーを備えていない純然たる銃声が他の敵に聞こえた事は間違いない。日頃使っている銃器より小型で軽量なMP5Fは彼らにすれば玩具の様なものだ。
発砲に伴うその微弱な反作用を上半身で押さえ込みながら、材木剥き出しの素っ気ない屋内を進んで行った。
ヘルメット後部に貼られた“69th CAG”のパッチを目撃した敵は居ない。
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