第1章

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淡々と、親族、お坊さんたちの作業が進み、棺桶に釘を打つ作業に来たときだった。 息子だから、俺に一番最初に釘を打てと言うのだ。 俺は駄々をこね、泣きじゃくりながら釘を打つことを全力で拒否した。 他の人が打つのも、「お父さんが出て来れなくなるからやめて!」と、釘を打つ人たちを叩きまくり邪魔をした。 それでも、進むべき作業は進み、棺桶は完全に釘で打ち付けられた。 もう何も言うことができなかった。 そこが、死というもの、悲しみ、寂しさの頂点だったのだと思う。 火葬場に行ったときには、もう泣くこともなければ、駄々をこねることもなかった。ただただ骨を箸で拾い、段取りをこなした。 もう、そこの記憶はない。 何日かし、一段落したとき、死んだ父親の妹夫婦がやってきた。 まるで普通に遊びに来た感じだった。 死んだ父親の妹は、19歳、その旦那は25歳で子供はいなかった。 母親と話をしていたあと、「利樹!デパートにおもちゃでも買いに行こうか?」と誘われ、父親が死んだばかりだというのに、俺は「おもちゃ」という言葉に惹かれ、その妹夫婦と3人でデパートへとでかけ、車のラジコンを買って貰った。 満足し、早くラジコンをやりたくて、家に帰るのが待ち遠しかった。 しかし着いた先は、妹夫婦の家だった。
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