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****Side.Rinako.
「莉奈子、おめでとう。
お式も披露宴も、全力でサポートさせて頂きます」
テーブルを挟んで、高校時代の同級生だった生田友美(いくたともみ)はビジネス口調でにこやかに微笑む。
「ねぇ、彼は仕事が忙しくって。
打ち合わせも準備も、殆ど私一人でしなくちゃいけなくなりそうなのよ…大丈夫かな?」
私、櫻井莉奈子は睫毛を伏せて湯気の立つティカップにそっと口を付けた。
ここは市内中心部から西に位置する結婚式場、Seaside.Wedding Bluebard。他よりも値段設定は高めだけど、1日1組の貸切。
小高い丘の上に建つここのウリは、見晴らしのいい景色と海に面したガラス張りのチャペル。高級感漂うパーティ会場は人気のゲストハウスタイプ。
ドレスは人気デザイナーの最新作や人気モデルデザインドレスが着れる。
こちらの都合がいい日に会場が運良く空いていたこともあって契約に来ていた。
「そういう人、多いわよ。
他のスタッフにも申し送りはしておくわね。
困ったことや不安なことは一人で抱えないで。スタッフ一同が全力でサポート致します。
貴女をマリッジブルーなんてさせないわ。人生の大イベントなんだから、楽しみましょう」
前のめり気味に話す彼女の爪は整えられていて、嫌味のない控えめなネイル。そして中指には値の張っていそうな石のついたリング。
「本当に。いくちゃんはいつも頼りになるわ…」
きっと彼氏ナシの仕事第一だろうなと、ゆっくりと微笑んだ。
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