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~第1話~今
「あー、彼女ほしいなー。」
「ま、もー高校生やしな。そろそろ彼女とかも欲しくなるよなぁ。」
「~さん達別れたんだって…」
「え?仲良かったのにねー笑」
…なんて、今日も教室ではたわいのない会話がおこなわれている。
青春だ!
華のセブンティーンだ!
なんていわれる、この高校という舞台では数多くの生徒が興味を少しは示すような会話なはず。
しかし、そんな会話に興味も全く持たず、よほど空腹なのだろうか、1人せかせかと自分の机で母特製の弁当を広げようとしている人物がいた。
「なぁ、こーめいも男なら彼女とか欲しいって思うよな?」
と、弁当に夢中の彼は、近くの机で2人で昼ごはんを食べようとしていたうちの1人の男子生徒に急に話しかけられ、少々驚いたものの、弁当から目を離さずに答えた。
「んー…
俺は別にいいかなー。」
その返答に対して、2人のうちのもう1人の男子生徒が、
「おい!お前それでも男かよ!!
そんなんだから、お前、顔も頭もわるくないのに彼女できないんだよ!」
なんて冗談まじりに声をあげた時には、もー彼は卵焼きをほおばっており、
「だって、
彼女とか色々大変だろうし…」
もぐもぐ。
「そんな簡単にできないだろうし…」
もぐもぐもぐもぐ。
「まず第一…」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ。
「彼女いない歴16年のお前らに彼女についてそんな力説される筋合いはない。」
「うっ…」
「ぐっ…」
と、冷静な弁当の彼の一言に、心をえぐられたのか、2人は短いうなりとともに自らの昼食に手をつけだす。
そんなことを気にもせず、こーめいと呼ばれた人物、桐谷孔明
(きりや こうめい)は、ソースのかかったトンカツへと手をだした。
俺だって…
ほんとは
ほんとは…
興味ないわけではないんだけどな…
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