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「す、誰何クン!?」
凛はボクを見て驚いたが、すぐに扉の開いた部屋を指差す。
「子子子子さんが…!」
中に入る。
子子子子さんが、カーペットにうつ伏せに、倒れ込んでいた。
上半身を中心に、血だまりができている。
「り、凛!嫩さんを呼んでくるね!」
「待て!凛!」
階段を降りて行ってしまった。
ボクが拘束されていて、残っているのが嫩さんと凛なら、犯人はもう…!
追いかけようとして、ふとある物が目に留まる。
それは、子子子子さんの指で書かれた血文字。
子子子子さんが残した、ダイイングメッセージ…?
思考しろ、邪答院誰何。
画家。凛の帰国。仕事。回り道さんのお誘い。猫屋敷誕生祭。誕生パーティー。酒。回り道さんの訪問。告白。居合わせた凛。猫屋敷さんの自殺。密室。首吊り死体。
混乱していた頭が、その二文字で落ち着きを取り戻していく。
部屋に籠る凛。起きていた回り道さん。朝食。予知していた死。友情。猫屋敷追悼祭。続くパーティー。回り道さんの死。開いていた扉。閉じられた窓。絞死。紐。死体の温もり。
紡いで、混ぜ合わせていく。
絵の具を、練り合わせていくように。
邪答院誰何の拘束。外付の鍵。窓のない物置部屋。照明の光。数本の鉛筆。スケッチブック。悲鳴。蹴破られた扉。驚愕。開け放たれた部屋。子子子子さんの死。血だまり。ダイイングメッセージ。
あぁ…なるほど。
何故、猫屋敷さんが死んだのか。
何故、回り道さんが殺されたのか。
何故、子子子子さんが殺されたのか。
考えてみれば、簡単なことだった。
本当に、簡単なことだった。
拍子抜けするぐらい、簡単で、単純で、他愛無くて…。
ここまでして…ここまでしてまで…彼女は。
「全部…分かったよ」
謎は解けた。
邪答院 誰何の目的は変わらない。
最寄 凛を守ること。
さぁ、答え合わせを始めよう。
探偵は――。
嫩二束、お前だ。
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